湯船に入る効果と入浴法

「湯舟に浸かると、1日の疲れが癒えますよね。疲労回復や血行促進にも効果が期待できますから、健康を保つ意味でも毎日しっかり入浴することは必要です。ただし、湯舟に浸かっている時間が長すぎるのはいけません」

たとえば30分以上湯舟に浸かると、肌の角層が大量の水分を吸収してしまう。そのため、肌の保湿成分となる油分を失い、乾燥肌を招く原因となる。また、長湯をすると、体内から水分が汗として流れ出てしまう量が増加し、頭痛やめまいなどの脱水症状を引き起こしかねない。

「肩まで湯に浸かるのをやめて、半身浴にするならいいだろうと思われがちですが、それでも同じこと。長時間お湯に浸かっている部分の油分がなくなってしまいますので、乾燥肌になってしまいます」

一方で、短すぎる入浴もNG。入浴時間が10分未満の場合、身体が完全に温まりきらない。つまり、疲労回復や血行促進などの効果が期待できない。

「1回の入浴時間は10分~15分を目安にするのがよいです。なにもピッタリと10分や15分である必要はありませんが、長くても20分以内にしておくのが賢明。身体への負担が抑えられます」

もうひとつ気になることがある。記者は温泉に行くと一日に最低でも2回は入浴する。これも体には負担になるのだろうか。

「本来、入浴は1日1回で十分なもの。温泉に何度も入ると体に負担がかかりますし、泉質によっては何度も浸かると皮脂が取れて肌が荒れてしまいます。多くても1日2~3回を目安にしましょう。1日に何度も入浴するなら、1回当たりの入浴は3分程度、トータルで10~15分までにします。汗が流れたり、顔が熱くなったらすぐに出るようにしましょう

なお、ダイエット目的で、長時間湯舟に浸かり大量の汗をかくことを日課にしている人もいるかもしれないが、そもそも運動と入浴とでは汗の出る仕組みが違う。

「自分の脂肪を燃焼させて体を動かし、結果として体温が上がり汗をかくのが運動。入浴の場合は脂肪を燃焼させているわけではなく、お湯から熱を受け取って体温が上がり、汗をかくだけです」

それでも入浴時にダイエット効果を求める人には「高温反復法」がお勧めだそうだ。やり方は簡単。熱いお湯(お湯の温度は42度~43度)の中に、短い時間(2~3分)で出たり入ったりを計3回程度繰り返す。これなら体の負担も少なく、1回の入浴で約300~400キロカロリーを消費できるので、ダイエット効果も見込まれる。長風呂が苦手な記者にもうってつけだ。さっそく今晩から挑戦してみたい。