腰痛と内ももの関係について

国民の1/4に相当する約2800万人が悩むと言われる腰痛(厚生労働省「2015 国民生活基礎調査」)。特にその内訳は女性よりも男性に自覚症状が多いとも言われています。今回は、現役パーソナルトレーナーで柔道整復師の私(ヒラガコージ)が、国民病とも言える腰痛を改善・予防することにオススメの「内ももストレッチトレーニング」をご紹介します。

腰痛の「内もも」との関係

 腰に痛みを覚えると気になるのは腰回りの筋肉。また、整形外科などの専門医を受診した際のアドバイスとして「体幹を強くすると良い」と言われがちです。そこで多くの人が「腹筋」をイメージするでしょう。しかし、内ももについている「内転筋」も大きな関係があることをご存知でしょうか。

 内ももの筋肉は大半が骨盤から太ももの内側〜膝下あたりに向かって走っているので、これらの筋肉が硬くなると骨盤の角度に影響をもたらします。姿勢の悪い状態が続くと骨盤の角度に異常が出ます。それが骨盤周りには強い負担となり、腰痛の原因にもなるのです。

「ストレッチトレーニング」ってなんだ?

 筋肉を引き伸ばすリラクゼーションやウォームアップなどのイメージが強い「ストレッチ」と、筋肉に負荷をかけながら縮めて強化する「トレーニング」は一見、相反するものに感じるでしょう。しかし、筋肉によってはこれらを組み合わせるストレッチトレーニングが筋肉の強化につながることがあります。

 筋肉には一つの関節をまたがるように付く「単関節筋」と二つ以上の関節を跨いで付く「多関節筋」があります。リーチの短い単関節筋は強く、速く関節を曲げる際に筋肉がよく働きます。しかし、多関節筋はリーチが長く、筋肉が一度引き伸ばされた際に引っ張られた長いゴムが元の形に戻るかのように収縮して筋肉が働きます。

 そのため、多関節筋を鍛える際にはただ単に筋肉を縮めるのではなく、一度引き伸ばすストレッチ状態を作ることが効果的な鍛え方といえます。

 内転筋の中でも筋肉が硬くなって悪さを起こしやすい「薄筋(はっきん)」は多関節筋です。凝り固まったこの筋肉を正常化させて更に鍛えるためには、筋肉自体をストレッチ&トレーニングをする必要があります。

「内ももストレッチトレーニング」

脚を大きく広げてガニ股状態で立ちます。この時つま先と膝は同じ方向、なるべく外に向けましょう。

背筋をまっすぐにしたままお尻を床にむかって落としていきます。姿勢を変えずに落とすことで内ももが引き伸ばされることがわかるはずです。

膝とお尻がそろう高さを目安に下がったら、今度はお尻を持ち上げての姿勢に戻ります。

10/23セット

 左右の内ももを一度伸ばし切ってから縮める運動が「内ももストレッチトレーニング」です。なるべく引き伸ばした状態から一気に収縮させてあげることが狙いですから、エクササイズに慣れてきたら、お尻を持ち上げながら軽くジャンプをして内ももの筋肉の収縮をさらに瞬発的にしてあげるのもいいでしょう。