「長時間パソコンとにらめっこしていると、体が一瞬フワッと浮くようなふらつきやめまいを感じることがあります」
私のところに取材に来たある記者さんから、こんなふうに言われたことがありました。
「頭痛持ち?」と聞くと、まさにその通り。「長時間パソコン」「ふらつきやめまい」といったキーワードは、頭痛の中でも緊張型頭痛が考えられるものになります。
ここに「首・肩の凝り、腰の痛み」「眼精疲労」が加わることも珍しくない。この記者さんは、仕事中、常に目の奥に鈍い痛みのようなものを感じているそうです。緊張型頭痛との関連を指摘すると、「電磁波の浴びすぎだと思っていました」と驚かれていました。
緊張型頭痛は、頭から首、肩にかけての筋肉が緊張し、血流が悪くなることで、筋肉や筋膜を支配している神経が過敏になり、痛みが生じると考えられています。
「長時間同じ姿勢を取る」「悪い姿勢を取る」「不適切な枕を使う」「運動不足」、さらには「強い精神的ストレス」が原因で起こりやすくなります。
緊張型頭痛は従来、中高年に多い頭痛。運動不足で筋力が低下しているために、筋肉の血流の滞りが起こりやすいからです。
ところがこの20年ほどで若い患者さんが増加。パソコンや携帯電話が普及し、世代にかかわらず座りっぱなしや同じ姿勢を取り続けるようになったからです。
・仕事でパソコンとずっと向き合っている
・仕事以外でもスマホの画面を見る時間が長い
こんな人は緊張型頭痛を起こして当然。緊張型頭痛には特に「うつむき姿勢」が悪いのですが、その習慣を改めない限り、緊張型頭痛は悪化すれど、解消することはありません。
さて、緊張型頭痛の症状を紹介しましょう。ズキンズキンと脈打つように痛む片頭痛に対し、緊張型頭痛は、後頭部を中心に頭全体が締め付けられるように鈍く痛むのが特徴です。「頭が重く感じる」という訴えを口にする方も。前述したように、首・肩の凝り、腰痛、眼精疲労もよくある訴えです。
緊張型頭痛は、長時間の同一姿勢が“元凶”。それを改めることで症状が軽減する可能性が大です。
「座りっぱなしで姿勢が変わらないな」と思ったら、立ち上がって伸びをする。周辺を歩く。肩を回すなどの簡単なストレッチをする。1日の締めくくりには、ぬるめのお風呂につかり、リラックスする。高すぎたり低すぎたりする枕を替えるのもいいですね。
座りっぱなしの時間が長いと、肥満、糖尿病、がんなどのリスクが高まるという報告もあります。健康のためにも、日々の生活の見直しをしていただきたいです。なお、緊張型頭痛の特徴とも思われている頭痛に伴うふらつきやめまい、実は片頭痛でも起こり得る症状であることが最近の研究で解明されてきました。次回はそのあたりについてもう少し詳しくと、片頭痛と緊張型頭痛、それぞれの薬の飲み方についてお話しします。
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