年をとると眠れなくなるのはなぜ

体内時計が前倒しになり眠りも早く、浅くなる

高齢者は早寝早起きになりがちです。若いころに比べ、睡眠が浅くなる傾向があるのです。これは、加齢とともに体内時計が変化していることが大きく影響しています。体温やホルモン分泌など、睡眠にかかわる生体機能のリズムが前倒し、つまり早いほうにずれてくるのです。

さらに、睡眠周期をコントロールするメラトニンというホルモンの分泌量が減少し、就寝時の深部体温の下がり方も弱まります。 実際に、高齢になると深いノンレム睡眠は短く、浅いレム睡眠は長い睡眠パターンになります。そのため、尿意や小さな物音でも目を覚ましやすくなります。夜中に何度も起きてしまい、朝までぐっすり眠ることが難しくなるのです。

高齢者は日中の活動量が減るから、短時間睡眠でも十分とよくいわれますが、そんなことはありません。短時間睡眠で昼寝の習慣のない人ほど、認知症の発症リスクが高い調査結果が出ています。夜に長く眠れない場合は、昼寝をして睡眠時間を確保したほうがよいのです。

また、ノンレム睡眠の時間が減ると、骨密度を増やす成長ホルモンの分泌も減り、骨がもろく、折れやすくなってしまいます。骨が弱くなるのは典型的な老化現象のひとつですが、眠ることで維持改善が図れるともいえるのです。