脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓など、突然症状が起き、短時間のうちに亡くなってしまう“突然死”。糖尿病治療の名医であり、生活習慣病の予防にも詳しい医学博士・板倉弘重先生によると、その要因のひとつとなるのが血管にできるかたまり“血栓”だといいます。ですが、その血栓は外から見ただけではわからず、自覚症状もありません。だからこそ、血栓を予防することや、できても溶かして流すことがとても重要になります。
血栓をつくらないためには、食べ物だけでなく日々何気なくおこなっている生活習慣を見直すことも大切です。そこで今回は、板倉先生監修の『血栓をつくらない!』(宝島社)から、血栓のリスクを下げる習慣をご紹介します。
監修/板倉弘重
血栓リスクを高める要因を取り除く
血栓をつくらないためには、まず血栓をつくる要素を暮らしから極力取り除きましょう。血栓予防で大切なのは食事だけではありません。とくに、血栓をつくるということに関していえば、食事と同じかそれ以上に血管ダメージを体に与える要素や習慣が生活のなかにたくさん潜んでいます。
そのなかで、とくに血栓症リスクと深く関わるのがタバコです。ニコチンには強力な血管収縮作用があり、タバコの煙に含まれている一酸化炭素は血管壁を傷つけて血栓をつくりやすい状態にします。喫煙者が虚血性心疾患で亡くなるリスクは非喫煙者の3倍近くにも及ぶという日本人を対象にした研究結果があるほどです。喫煙期間が長いほど、そのリスクにさらされているということ。「もう今さらやめられない」と諦めずに、本数を減らす工夫から始めるなど、できるところからタバコと縁が切れるようにしましょう。
そして生活のなかにある化学物質も血栓リスクを高める要因に。タバコにも実に4000種類以上の化学物質が含まれているといわれています。化学物質は暮らしに役立つ、体に必要なものもたくさんありますが、有害なものもたくさんあります。洗剤や化粧品に含まれている化学物質、車の排気ガスなどによる大気の汚れ、ハウスダストにも化学物質が含まれています。こういった化学物質が体内に取り込まれると、血管を傷つけて血栓ができやすい血管環境をつくり、免疫力の低下につながってそこから感染症が起こるなどの危険性があります。
化学物質は、生活から完全に取り除くことは難しい部分もありますが、たとえば部屋は清潔に保つ、化学物質の少ない日用品を使うなど、できるところから血栓対策をはじめてください。
生活に潜む血栓リスクを上げるもの
運動不足
体の血流が悪くなり血栓ができやすくなる!
私たちの体は動かすことで血流を刺激します。同じ姿勢を続けていると、血流の流れが悪くなって血栓ができやすくなります。とくに下半身にしっかり筋肉があると、筋肉運動によるポンプ機能が正しく働けて全身に血流を巡らせることができます。
タバコ
タバコには血液を固まりやすくする作用が
喫煙は、血液を固まりやすくします。また、交感神経を高ぶらせ心拍数や血圧を上げる、タバコの成分が血管の内壁を傷つけるなど百害あって一利なし。メタボや高血圧などがなくても喫煙習慣があるだけで動脈硬化を進め、血栓をできやすくするのです。
化学物質
体内に入ることで血管に負担をかける
生活のなかにはたくさんの化学物質があり、なかには体に取り込むことで害となるものもあります。自動車の排気ガス、洗剤などの日用品に含まれる成分、塗料、ハウスダスト……こういった有害なものが取り込まれると血管を傷つけて血栓がつくられる原因に。
ストレス
イライラ、不安など心の状態も血栓に影響
ストレスを強く感じる状態を続けると、血圧や血糖値が上がり、血管を傷つけます。スウェーデンでは、市の職員を対象に心筋梗塞になった人とそうでない人を比較すると、前者のほうが長時間勤務をしていたことがわかっています。
侮れない! 意外に多い水分不足
血栓予防の基本中の基本が、水分補給です。当たり前のように感じるかもしれませんが、水分が不足している人が実は多いのです。血液は水分が不足するとどんどん粘度が高くドロドロになります。血流が悪化すると、血液を送り出す血管の負担になりますし、血栓がある場合は細くなった血管のなかをうまく通れなくなってしまいます。朝起きたとき、夜寝る前にはコップ1杯の水を。また、1日を通してこまめな水分補給をして、血流の滞りを防ぎましょう。
水分補給はこうしよう!
こまめに水を飲む
水は、1日のなかでこまめに摂取するようにしましょう。デスクワークや、家で過ごしているとついその必要性を忘れがちなので、意識しておくことが大事です。
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