「冬になってから寝付きの悪さや日中の眠気を感じている」というママやパパはいませんか? 実は、冬は睡眠の質が下がりやすい季節です。今回は、冬に睡眠の質が低下する原因や、冬もぐっすり眠るための対処法を医師がご紹介します。
睡眠の質が低下する冬特有の理由
睡眠の質が低下する冬特有の原因には、メラトニン不足や寝室や寝具を温めすぎていることが挙げられます。
メラトニン不足が起きやすい
冬は日照時間が短くなることで、体内のセロトニンの分泌量が減少しやすい季節です。セロトニンは、深い眠りに導く作用をもつメラトニンのもとになります。
したがって、セロトニンが減少するとメラトニンも不足しやすくなり、寝付きが悪くなったり眠りが浅くなったりと睡眠の質の低下につながるのです。
冬になると日中に眠気を感じやすい人は、睡眠の質が低下することで気が付かないうちに寝不足になっている可能性があります。
寝室や寝具を温めすぎている
寝室や寝具を温めすぎていることも、寝付きが悪くなる原因のひとつです。
人間は、からだの内側の体温である深部体温が下がるときに深い眠りに入ります。就寝前にからだを温めすぎると深部体温がうまく下がらず、寝付きが悪くなったり夜中に目が覚めたりなど、睡眠の質が低下するのです。
たとえば、設定温度が高すぎる暖房や就寝中の電気毛布の使用、保温性の高い寝間着の着用などは、深部体温の低下を妨げ、睡眠の質を下げる原因になっている可能性があります。
冬の睡眠の質を改善する方法
冬の睡眠の質を改善するには、セロトニンの分泌量を増やしたり自律神経を整えたりすることが大切です。
忙しいママやパパも取り入れやすい、冬の睡眠の質を上げるための生活習慣を2つご紹介します。
起床時に光を浴びる
日光を浴びることで、セロトニンの分泌が促されます。また、起床後に明るい光を浴びると体内時計がリセットされ、自律神経も整いやすくなります。
そのため、朝起きたら30分以内にカーテンを開けて日光を浴びましょう。時間に余裕がある日は、15~30分ほど日光浴するとより効果的です。(※1)
冬は日が昇るのが遅いため、起床時にまだ外が暗い場合は部屋の電気をつけて光を浴び、からだを目覚めさせましょう。
適度に運動する
ランニングやサイクリング、水泳などの有酸素運動は、セロトニンの分泌を促し、自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。10〜15分程度でOKなので、日中にからだを動かすようにしましょう。
雪や寒さで屋外での運動が難しい場合、室内でできるラジオ体操や踏み台昇降、リズム運動などがおすすめです。
ほかにも、就寝前には軽くストレッチをして副交感神経を優位にし、起床時には布団の中で手足を動かしたりからだを伸ばしたりして交感神経を刺激すると、自律神経のバランスが整って睡眠の質の改善効果が期待できます。
睡眠の質を下げるNG行動
冬の睡眠の質を下げるNG行動は、からだを温めすぎることです。寝室や寝具を必要以上に温めたり就寝直前に熱いお風呂に浸かったりすると、深部体温が下がりにくくなり、睡眠の質の低下につながります。
睡眠の質を上げるには、寝室は16〜19℃ほどになるように暖房を調整し、寝具は湯たんぽなどで就寝前に人肌ほどに温めて就寝時は使わないようにしましょう。
とくに、就寝時に靴下を履いていたり足元を電気毛布や湯たんぽで温めていたりすると、からだから熱が逃げにくくなり深部体温がうまく下がりません。就寝時は、手や足から熱が逃げやすい状態にしておくことが大切です。
お風呂は寝る1〜2時間前に38〜40℃のぬるめのお湯にゆっくり浸かると、深部体温が徐々に下がっていき、ちょうど布団に入るときに眠気が訪れる効果が期待できます。(※2)
睡眠の質を上げて冬もぐっすり眠ろう
冬になって睡眠の質が低下しているのは、メラトニンの減少や温かすぎる睡眠環境が原因かもしれません。
睡眠の質が下がると、日中に活動的になれなかったり免疫力が低下したりなど、日常生活にさまざまな影響が出やすくなります。
今回ご紹介したセロトニンを増やす生活習慣や睡眠の質を下げるNG行動を参考に、冬の睡眠を見直して元気に過ごしましょう。
コメントをお書きください