脊柱管狭窄症が楽になるストレッチ

日常生活に支障がでるほどつらい脊柱管狭窄症の症状とは

 脊柱管狭窄症とは、背骨にある神経の通路である脊柱管が、骨の変形や椎間板、靱帯の突出などにより狭くなる病気です。つらい悩みを和らげるストレッチを実例を交えながら紹介します。

背景:「薬だけでは限界を感じているが、手術は避けたい」

 Tさん(70代、女性)は、旦那さんとの二人暮らしを送る主婦です。若い頃から繰り返し腰痛に悩まされてきましたが、ここ数年で症状が悪化。整形外科で脊柱管狭窄症と診断されました。

 整形外科では痛み止めが処方されました。しかしTさんのつらい症状は、日々の生活に大きな支障を与えていました。Tさんの状態は手術が有効とされるケースでしたが、「周りで手術がうまくいかなかったという噂を聞いたので、怖くて踏み切れないんです。」とTさん。

 しばらくの間は痛み止めなどの薬に頼りながら生活を続けていました。しかし、痛みや不自由さは徐々に増し、TさんのQOL(生活の質)は著しく低下。「何とかしたいけれど、この先を考えると手術はなるべく避けたい…」と悩んでいたTさんが選んだのは、リハビリテーションという選択肢でした。

症状:「30分車に乗るのも痛い。しびれ・ふらつきで歩くことも難しい」

 Tさんは脊柱管狭窄症により買い物が困難になっていました。長い時間車に乗るとお尻が痛みだし、スーパーに着いても、少し歩くと神経痛・しびれ・ふらつきで歩き回れない状態。

「30分車に乗るのも痛くて耐えられない。楽しみだった夫との買い物も行けません。デイサービスの送迎車に乗る時間も短くしてもらうようお願いしました」とTさん。

 これらの症状は、脊柱管狭窄症により腰の椎間板や脊柱管が圧迫され、血流が不足することで起きる症状と考えられます。

脊柱管狭窄症による痛みを和らげる3つのストレッチ

 Tさんは典型的な反り腰の姿勢でした。姿勢不良の原因は個々に異なりますが、Tさんの場合はお尻やふくらはぎの筋肉に硬さがあり、脚全体の柔軟性が低下していました。

 まず行ったのが、狭窄部位の神経根への血流改善を目的にしたセラピストによる施術です。それにより凝り固まっていたお尻の筋肉の柔軟性を改善しました。その後、徐々に運動療法を開始し、お尻や脚全体を緩めるストレッチを指導。痛みが軽減してきたところで有酸素運動を開始しました。

 Tさんの痛みを和らげるには、過度に緊張したお尻と脚全体をゆるめ、神経への血流を改善することが重要でした。Tさんの場合、座っていられないほどの症状だったため、最初はセラピストによる施術でお尻の筋肉の柔軟性を出します。その後ストレッチを加えることで、徐々に血流の改善をめざしました。今回の症例のように、座って症状が強く出るかたのストレッチのポイントは楽な姿勢を維持した状態でのケアです。

開始姿勢
お尻の下にボールを入れ押し当てるようにし筋肉をほぐしていく

【2】横向きでのお尻の圧迫ストレッチ

 硬くなったお尻の筋肉を柔らかくすることで痛みを軽減。

1. 脚の付け根の外側(ポケットの位置)に骨のでっぱりを探します。

2. その少し上にボールを当てる意識を持ちます。

3. リラックスして横向きに寝ます。

4. 両膝を90度ほどに曲げ、先ほど確認した位置にボールを入れます。

5. 深く呼吸をしながら、30秒ほど圧迫ストレッチをします。

6. 数センチずつ場所を変えて、各部位30秒、左右行いましょう。

骨の出っ張りを探しその上の部分が正しい位置
深く呼吸をしながら、30秒ほど圧迫ストレッチ
数センチずつ場所を変えながら各部位30秒圧迫ストレッチ

【3】ボールを使用したふくらはぎストレッチ(ボール無しでも可)

1. リラックスして両膝を曲げ、後ろに手をついて座ります。(後ろに倒れそうな方はクッションや座椅子などを使用してください。)

2. ふくらはぎの外側をねらって、深く呼吸をしながら、ゆっくりとふくらはぎにボールを押し当てるようにし、筋肉をほぐしていきましょう。

3. そのまま左右につま先足をひねり、固いと感じる部位をほぐしましょう。

4. 30回程、ほぐれたと感じるまで行いましょう。

5. 数センチずつ部位をかえてふくらはぎ全体をほぐします。左右行いましょう。

両膝を曲げ、後ろに手をついて座る
ふくらはぎの外側にボールを当てる
足を左右に動かす

<ボールが無い場合>

ボールが無い場合は、自分の足のすねを使ってストレッチしていきます。

ボールが無い場合はすねを使ってストレッチ

30分、座れるようになり、 買い物にも行けるように

 結果として、セラピストの施術やストレッチの施行から数か月で徐々に血流が改善し、腰痛とお尻の痛みが軽減。以前より長く座れるようになりました。

 また、脚とお尻の柔軟性も向上し、腰痛の軽減がみられました。座れる時間が少しずつ延びてきたため、自転車エルゴメーター(固定された自転車のことで、筋の協調性、脚の循環、関節の可動域などの改善が期待されるマシーン)などの有酸素運動やその他の運動も開始。リハビリテーションを通して継続的な運動を行うことで、最終的に20分〜30分程車に乗れるようになりました。